脈絡をつかむこと、繰り返し読むこと(他の訳も含めて)。
『ヨハネによる福音書』は、それが書かれた紀元1世紀末の教会の状況を反映している。その
頃教会で起こっていたことが、イエス・キリストのご生涯を語る話、福音書の中に持ち込まれてい
る。例えば、3章に出て来るニコデモという人。ユダヤ人の議員であったニコデモが、人々の目を
避けて夜ひそかにイエス様を訪ねて来た。それは、紀元1世紀の終り頃、ユダヤ教による迫害の中
で、ひそかにイエスを信じていた人たちがいた、という事実の反映。ここに語られていることもそ
れと同じで、紀元1世紀終り頃の教会の姿。一旦はイエスの弟子、つまり信仰者となり、教会に加
わっていたが、やがて脱落し、離れ去っていく、イエスへの信仰を失い、教会の一員として歩むの
をやめてしまう人々が出ていたのだ。『ヨハネによる福音書』はその現実を見つめて書いている。