失敗を恐れず神さまから与えられた賜物を用いることを教える。
この譬え話のポイントは、積極的に預かったタラントンを用いた前者の2人と消極的だった最後の1人の対比にあるでしょう。そこで、何がこの両者を分けたのか、と言えば、最後の人の主人に対する不信感にあったと思われます。つまり、失敗への恐れです。神さまは御心に従おうとして積極的に生きようとする者がたとえ失敗をしたとしても、それを必要以上に咎め立てなさる方ではないでしょう(過ちをお叱りになることはあっても)。失敗を恐れ、石橋を叩いて渡るような人間ではなく、もっと大らかな信頼感をもって積極的に生きる人間へと成長していってもらいたいと思います。
・このタラントンを積極的に用いた前者二人は、それぞれ成果は異なっていたとしても、その評価が全く同じというところに何か深い意味を感じます(ルカの並行箇所と比較してみてください)。そして、この両者に共通している「主人を喜ばせたい」といった動機も大切な視点でしょう。
・1タラントンは6千デナリオンに相当します。そして、1デナリオンは労働者の1日分の賃金に該当しますので、6000日分(約20年)の賃金ということになります。多いものはその5倍、真ん中の者は2倍、一番少なくともこの額ですので、相当に大きな金額になることが分かります。