TNG The Next Generation

2016年9月25日 聖霊降臨後第19主日

福音書 ルカ16:19-31
第一の日課 アモス6:1-7
第二の日課 Ⅰテモテ6:2C-19

今週の聖句

「やがて、この貧しい人は死んで、天使たちによって宴席にいるアブラハムのすぐそばに連れて行かれた。」
ルカによる福音書16:22

ねらい

この世の貧富の差(構造的な経済格差)が神の御心に背くものであり、神様は常に貧しい者、困窮した者を心にかけておられることを示す。貧困状態にある人々への共感を育む。

説教作成のヒント

 イエスの譬え話が、現代にも起こっている事柄と重なることを、児童のわかる範囲で伝えるよう努めた。その上で、譬え話の物語性を大切に、少しでもラザロの境遇に想いを寄せられるように心がけた。神の罰としての地獄について、幼い聞き手に恐怖感を与えすぎないよう配慮が必要である。「モーセと預言者」の教えについては、省略している。現代の子どもの貧困、ホームレス問題、世界の飢餓の問題とも関連して展開できるかもしれない。

豆知識

 ホームレスであるラザロには名前が与えられており、一方の金持ちは匿名のままであることに注目すべきである。ホームレス状態にある人々の、人としての尊厳、人権が、まず神様によって尊重されていることを表しているといえる。

説教

わたしたちの住む世界には、お城のような家に住んでいて、自分の専用飛行機を持っているような、びっくりするほどのお金持ちがいます。その一方で、一日たった一回のごはんも食べられないような、まずしい人たちがたくさんいます。どうしてでしょう?お金持ちはたくさん働いたから?まずしい人は、なまけて仕事をしなかったから?それとも神様が、誰がお金持ちになって、誰が貧乏になるかを決められたから?いいえ、どれも違います。まずしい人たちは、働きたくても仕事がなかったり、一生懸命仕事をしても、ほんの少しのお金しかもらえなったりするのです。お金持ちの人たちは、自分の持っているたくさんのお金を使って、まずしい人たちを助けてあげれば、世界中のみんなが幸せになれるのに、それをしようとしません。そのことを、神様はとても悲しんでおられます。

日本にも、ホームレスと呼ばれる人たちがいます。まずしくて、働きたくても仕事がなくて、とうとう住む家もなくなって、道端や公園で寝ている人たちです。ホームレスの人の多くは、家族もなくひとりぼっちです。ごはんをまったく食べられない日もあります。長い間お風呂にも入っていないので、汗と埃の臭いがします。病気になっても病院に行くお金もありません。それで身体を悪くしていることが多いのです。

今日のイエス様のお話の中にも、ホームレスの人が登場します。名前をラザロさんと言います。ホームレスの人たちにも、ちゃんと一人一人名前があります。ラザロさんは、いつも町一番のお金持ちの家の門の前に寝ていました。長い間何も食べていないので、起き上がる元気もないのです。一方そのお金持ちの家の主人は、王様のような豪華な着物を着て、毎日ごちそうを食べて贅沢に暮らしていました。ラザロさんはいつも、そのごちそうの食べ残しを食べさせてもらいたいなあ、と願っていましたが、お金持ちの家の主人は何ひとつくれず、ただラザロさんの前を、汚いものを見るようにイヤな顔をして、無視して通りすぎるだけでした。ラザロさんは身体を悪くしていて、身体中におできができていました。友達はのら犬だけ。ラザロさんのおできを舐めて、慰めてくれるのでした。

ある朝とうとうラザロさんは、死んでしまいました。その時、天使たちが迎えに来て、ラザロさんを天国へと連れて行ったのです。この世でつらいことをたくさん我慢して生きた人は、死んだら、誰よりも真っ先に天国に行くことができるのです。そこにはラザロさんたちのご先祖であるアブラハムがいて、ラザロさんをやさしく懐に抱いてくれました。

さて、しばらくしてお金持ちの家の主人も死んでしまいました。このお金持ちが死んでから行ったところは、天国ではなく、恐ろしい炎の燃える地獄でした。お金持ちが、地獄の炎の中で苦しみながら上を見上げると、そこには天国でアブラハムと共にいる、幸せそうなラザロさんが見えました。お金持ちは、アブラハムに向かって「助けてください。せめてラザロを私のところに来させて、ほんの少しの水をください」と頼みました。けれども、アブラハムは悲しそうに、こう言いました。「おまえは、生きている間によいものをひとりじめして、苦しんでいるラザロに何もわけてやらなかった。だから今、おまえは苦しみ、ラザロは天国にいる。おまえを助けることはどうにもできないのだ」。

神様は、わたしたちみんなを天国に招きたいと願っておられます。そのためには生きている間に、神様から預かったお金や食べ物なんかを貧しい人とわけあって、助け合って生きていくことが求められているのです。

分級への展開

さんびしよう

*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より

□49番 「しゅイエスのひつじ」

□47番(改訂版) 「小さい子どもの」

やってみよう

話してみよう

イエス様は私たちを天国に招いてくださっていますが、このお金持ちと私たちの違いはなんでしょうか。

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