占星術の学者たちのキリスト訪問の出来事は、キリストによってもたらされる喜びが、
パレスチナのユダヤ社会をはるかに超えて、世界中に伝えられることを示す物語です。
「占星術の学者たち」は、非キリスト教社会(キリストを知らない人たちが多く住む社
会)に生きる人々を代表する存在です。「星の動き」という、一見するとキリスト教とは
無関係と思われる現象のなかにも、キリストを指し示すしるしがあるという、意外性がポ
イントです。
黄金、乳香、没薬という3つの贈り物があることから、「占星術の学者たち」は3名だ
ったと考えられますが、福音書は人数も彼らの名前も明らかにしていません。黄金は王の
ため、乳香は神のため、没薬は死すべき者のために贈られるもので、キリストは王のなか
の王、神ご自身であり、私たちのために命を捨てることを暗示しています。6世紀の伝説
によれば、3名はメルキオール、バルタザール、カスパールという名で、それぞれヨーロ
ッパ、アフリカ、アジアを代表していると考えることもできます。その場合、肌の色は白
、黒、茶色(または黄色)ということになり、もしかしたら私たちと同じ肌の色をした占
星術の学者がいたのかもしれません。