・ヨセフがマリアを受け入れるには葛藤があった。その葛藤の中で、神さまがヨセフとマリアに道を開いてくださったこと、そこから救いの歴史を作ろうとしてくださったことを知る。
・ヨセフは最初、マリアとの縁を切ろうとしたが、それはヨセフにとって、マリアを石打の刑にさせないための苦肉の策であった。人の目から見れば、マリアの妊娠はヨセフに対する裏切りである。
・神のお告げによって、ヨセフはマリアを受け入れることを決意する。マリアを受け入れることはヨセフにとってもマリアにとっても、茨の道を歩むことだったはずである。しかし、ヨセフが、愛と、人知を超えて働いてくださる神への信頼をもってマリアと子を受け入れることを決意したとき、その現実の中で神の救いの計画が実現していく。
・神の民イスラエルは、神に対する背きの罪によって国を失い、長い間他国の支配下に置かれていた。自分たちを罪から解放し、神との関係を回復してくれる救い主の登場は、ユダヤの人々の長年の悲願であった。ヨセフも救い主の登場を強く待ち望んでいただろうが、まさか自分がその誕生に関わるなどとは、思ってもいなかったに違いない。神は、不安や恐れ、戸惑いを抱えた小さなカップルを、ご自分の大きな恵みを全世界に示すための、救いの計画のために用いられた。
・当時、婚約・結婚をしていながら他の男性と関係を持った女性は、人々の間に引き出され、石を投げられ撃ち殺されなければならなかった。妊娠がまだ知られていないうちにこっそり離縁をし、マリアがどこかよそのところに行けば、シングルマザーとしての苦労はあるだろうが、死に値する罪には問われないのである。
・夢は、自分でコントロールすることが難しいところから、神が見せてくださるもの、神から人へのダイレクトな働きかけだと考えられていた。ここでのヨセフへのメッセージが「夢」であったことは、葛藤するヨセフに、人の思いを超えたところから、神が打開の道を開いてくださったことを意味する。