この世の富・お金はすべて神様からの預かりものであり、みんなが互いに助け合うことに生かされることが、神様の喜びであることを示す。
この箇所に出てくる例え話は、経済活動に対する一定の知識がなければ理解が難しく、児童には不向きかもしれない。できるだけ平易に語ることで、少しでも身近に感じられるよう努めた。「無駄遣い」という不正が露呈した管理人が、自分にも他者にも「役に立つ」方法を真剣に見出そうとしたところに、一つの転換点がある。イエス様の言われる「不正な富」とは、この世の富・財貨全般を表している言葉であって、それらに対して、神の御心に忠実に対処できる者だけが、さらに大きな天の富をも任されることができるのである。★豆知識
この金持ちが、商売をしていたか地主であったかはわからない。イエス様の時代、すでに大規模な大土地所有の地主は出現していた。とすると、借りた油や小麦は、小作人への貸し付けだったかもしれない。ともかく、イエス様の富に対する感覚、つまり「この世の富が蓄積されること」そのものが神様から見て「不正」であるという感覚が、背景にはあると考えられる。
ある時、イエス様はお弟子さんたちに、こんなお話をしました。
あるところにお金持ちがいました。たくさんのお金や財産を持っていました。どんなにお金を持っていても、ただ自分のために何かを買ったり、遊んだりするのに使ってしまえば、減っていくばかりで最後にはなくなってしまうことを、そのお金持ちはよく知っていました。それでお金持ちは、人々の暮らしには欠かせない油や小麦を売る商売をして、自分のお金をもっと増やしました。お金持ちは、一人の管理人を雇って働かせていました。管理人の仕事は、主人のお金や財産を預かって、それが減らないよう絶えず気をつけ、また油や小麦を売って儲けたお金を計算して、主人に報告することでした。そんな大事な仕事をまかせているのですから、お金持ちは、その管理人のことをとても信用していました。
ところが、ある人がお金持ちに「あの管理人は、うその報告をして、あなたのお金を勝手に無駄遣いしていますよ」と言いつけたのです。お金持ちはびっくりして、管理人を呼びつけました。「ちゃんと本当のことを報告しなさい。もしおまえがお金をごまかしているのなら、もうこれ以上、おまえに仕事をさせるわけにはいかない」。そう言われた管理人は、自分が今まで主人をだましてきたことがばれてしまって、大慌てでした。悪いことをすれば、必ずばれるということが、わからなかったのでしょうか。管理人は考えました。「もし仕事をやめさせられたら、これからどうやって生きてゆけばいいのだろう。住んでいるところも追い出されてしまうだろう。仕事がなければ、食べていくこともできない。身体が弱くて、力仕事もできない。道ばたに座って人からお金を恵んでもらうのは、はずかしい。ああ、どうしよう」。管理人は、不安な気持ちでいっぱいになりました。
その時、いい考えが浮かびました。管理人は、お金持ちの主人から油や小麦を買っているお客さんで、代金が支払えなくて困っている人たちがいるのを知っていました。支払っていないお金は、いつかは利子をつけて返さなくてはなりません。管理人は、主人に内緒で、その人たちの借金を少なくしてあげることにしました。もしもそのことがばれたら、主人はもっと怒るかもしれません。そんなことをすれば、主人にとっては大損になるからです。けれども、そうして困っている人たちを助けてあげれば、自分が主人から追い出されて仕事がなくなった時、その人たちが助けてくれるかもしれないと考えたのです。
管理人のしたことは、すぐにお金持ちの主人にばれてしまいました。主人はカンカンになって怒るか、と思ったら、なんと管理人のことを、「おまえは利口だ、たいしたものだ」とご機嫌で褒めたのです。いったいどうしてでしょう? 管理人が主人をだまそうとしたことは、よくないことです。けれども、困っている人たちを助けることで、自分も助かろうとした。そのやり方が、とてもすばらしいというのです。
イエス様は、このお話をされてから、お弟子さんたちに教えられました。あなたたちの本当の主人は、神様です。私たちの持っているお金は、すべて神様から預かっているもの。自分の楽しみに使ったり、ただ貯めておいても、何の役にもたちません。貧しい人、困っている人を助けるためにお金を使って、その人たちの友達になりなさい。みんなが互いに助け合うこと。それが、神様が一番喜ばれることなのです。
*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より
□49番 「しゅイエスのひつじ」
□47番(改訂版) 「小さい子どもの」
画用紙に色々な色のクレヨンを使い少しずつの範囲を塗りこめていく。
その上を黒のクレヨンで塗りつぶす。
最後にくぎや鉛筆やお箸など先がとがっているもので、黒い部分を削り絵を描いていく。
→できれば見本に荒い作業で完成したものを作っておき、比べてみてもおもしろい。
→色も黒も、きちんと塗りつぶさないときれいな作品にならない。
※みんなが大切にしているものは何ですか。
※イエス様がおっしゃる「本当に価値のあるもの」とは何でしょうか。