・クリスマスは、喜びの祭りである。その喜びはまず、過酷な状況で野宿をする羊飼いたちに告げられた。その羊飼いたちに語られた「あなたたちのために」というメッセージについて、思いをめぐらせたい。
・ルカはイエスの誕生が、いつ、どこで起こったことであるのかを、当時のローマの支配体制を具体的に挙げることで語る。これは、イエスの誕生が絵空事ではなく、具体的な人間の現実の命のただなかで起こった出来事であること、人間の歴史の中に、神の恵みが入り込んできてくださったことを意味する。
・実際にイエスが生まれた日付については、聖書に書かれていない。西方教会でクリスマスを12月25日に祝うようになったのは紀元300年頃のことであり、ローマの冬至の祭りと結びついたと言われる。「後付けの誕生日」といってしまえばそれまでだが、いちばん日が短くなり、気が滅入りがちなこの季節に、世の光であるキリストのお生まれを祝うようになったこと、そこにはやはり初期のキリスト教会の信仰が現れているのだろう。
・ヨセフとマリアが泊まったとされる当時の家畜小屋は、宿屋の裏手に造られた岩屋であったらしい。イエス誕生の「聖誕の岩屋」と語り伝えられている場所が、現在のベツレヘムの聖誕教会の中にある。