2013年12月24日 降誕祭(夜)
ルカ2:1-20 イザヤ9:1-6 テトス2:11-14

今週の聖句

「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。」
ルカによる福音書2:11

ねらい

・クリスマスは、喜びの祭りである。その喜びはまず、過酷な状況で野宿をする羊飼いたちに告げられた。その羊飼いたちに語られた「あなたたちのために」というメッセージについて、思いをめぐらせたい。

説教作成のヒント

・ルカはイエスの誕生が、いつ、どこで起こったことであるのかを、当時のローマの支配体制を具体的に挙げることで語る。これは、イエスの誕生が絵空事ではなく、具体的な人間の現実の命のただなかで起こった出来事であること、人間の歴史の中に、神の恵みが入り込んできてくださったことを意味する。

豆知識

・実際にイエスが生まれた日付については、聖書に書かれていない。西方教会でクリスマスを12月25日に祝うようになったのは紀元300年頃のことであり、ローマの冬至の祭りと結びついたと言われる。「後付けの誕生日」といってしまえばそれまでだが、いちばん日が短くなり、気が滅入りがちなこの季節に、世の光であるキリストのお生まれを祝うようになったこと、そこにはやはり初期のキリスト教会の信仰が現れているのだろう。

・ヨセフとマリアが泊まったとされる当時の家畜小屋は、宿屋の裏手に造られた岩屋であったらしい。イエス誕生の「聖誕の岩屋」と語り伝えられている場所が、現在のベツレヘムの聖誕教会の中にある。

説教

クリスマス、おめでとうございます。イエス様がお生まれになったユダヤの国では、一日の始まりは前の日の夕暮れから始まりました。だから、クリスマスイブには、もう「クリスマスおめでとう」と挨拶をしてもいいのですよ。

ヨセフさんとマリアさんは、長い長い旅をして、ベツレヘムについたとき、宿屋に泊まる場所がなかったので、動物小屋に泊まり、そこでイエス様はお生まれになりました。生まれたばかりのイエス様は、動物のえさ箱である飼い葉おけの中に寝かされました。ヨセフさんとマリアさんは生まれてくるイエス様のために準備をしたでしょうけど、それでもきっと、動物小屋は暗くてくさかったことでしょう。そして、昔の飼い葉おけは石でできたものでしたから、きっと冷たくて固かったことでしょう。そういうところで赤ちゃんを産むということは、今のように病院などの清潔なところで赤ちゃんを産むことよりもたいへんで、危険をともなうことでした。本当だったら、王様の宮殿のようなところに生まれてくる方が、イエス様にとっては安全だったはずなのに。しかし神さまは、王様ではなく、マリアさんとヨセフさんをイエス様の両親として選び、お生まれになる場所として動物小屋を選ばれました。イエス様が生まれるときに、神さまは大きな冒険をなさったのです。

そして、イエス様が生まれた場所が動物小屋だったからこそ、イエス様に会いに来ることができた人たちがいました。イエス様をいちばんはじめに拝みにきたのは、野原で野宿をしながら羊の番をしていた、羊飼いたちでした。羊飼いは、たいへんな仕事です。一晩中交代で、羊を狼などの危険な動物から守らなければいけませんし、羊が群れからはぐれないように注意しながら、野原へと連れて行ったりもしなければなりません。身分が高い仕事ではありませんし、みんなが仕事を休んで礼拝をする日にも、羊のお世話を休むわけにはいきませんでしたから、周りの人たちの中には「羊飼いは決まったときに神さまを礼拝しない、ふまじめな生活をする人たちだ」と羊飼いのことをよく言わない人たちもありました。

しかし、天使がイエス様のお生まれをいちばんに知らせたのは、その羊飼いさんだったのです。天使はこう言いました。「今日、ダビデの町で『あなたがたのために』救い主がお生まれになった」。その赤ちゃんは布にくるまれて飼い葉おけに眠っている、とも天使は言いました。あなたたちのために、救い主が生まれたよ。お生まれになった救い主イエス様は、厳重な警備で守られた王様の宮殿などではなく、あなたがたが今すぐ拝みにいくことができる、動物小屋の飼い葉おけの中に眠っておられるよ。神さまは、他でもないあなたたちのために、飼い葉おけの中に、イエス様を送ってくださったんだよ。・・・・・・えっ、「ふまじめだ」って言われる俺たちのためにだって?しかも、飼い葉おけの中にだって?羊飼いたちは驚いて、ベツレヘムに向かいました。そこで天使が言ったとおり、イエス様にお会いして、天使が言ったことが本当だったと知ったのです。

「あなたがたのために」天使が語ったこの言葉が、とても大切なことです。イエス様は、わたしたちのところに生まれてきてくださいました。しかも世界の隅っこともいえる動物小屋の飼い葉おけの中に、生まれてくださいました。王様の宮殿や立派なお屋敷でなく、動物小屋でイエス様がお生まれになったのは、世界の隅っこで悲しい思いをしている人、さびしい思いをしている人、大変な思いをしている人たちが誰でも、イエス様に会いにくることができるようにでした。そのために、イエス様は、神様のところからわたしたちのところへ、やってきてくださったのです。

わたしたちも、イエス様のお生まれをお祝いしましょう。また、いまさびしい思いをしている人たち、悲しい思いをしている人たちの中に、イエス様が訪れてくださって、クリスマスの喜びを与えてくださるように、神様にお願いしましょうね。クリスマスおめでとう!