アドベント･クランツに3本火がついて、クリスマスが近づいてきました。早くイエス様をお迎えして、みんなでお祝いをして、喜びたいですね。

いちばんはじめのクリスマスのときは、どうだったのでしょう。マリアさんのお腹の中に赤ちゃんがいるとわかったとき、ヨセフさんはどんなふうに喜んだのでしょうか。実はそのとき、ヨセフさんは悩んでいました。自分と結婚するはずのマリアさんのお腹に、自分の子供ではない赤ちゃんがいるのです。マリアさんは、自分以外の男の人と浮気をしたんだろうか。ちょっと難しいかもしれないけれども、皆さんだったらどうしますか。わたしだったら腹を立てて、みんなの前でマリアさんを怒ってしまうかもしれません。ヨセフさんにはみんなの前で、マリアさんを裁判にかけて、死刑にすることもできました。むしろ、その時代のルールだと、ヨセフさんはそうしなければならなかったのです。

ヨセフさんは、悩みました。きっと、マリアさんに対して怒る気持ちもあったでしょう。けれどもヨセフさんは、だからといってマリアさんにつらい思いをさせたくありませんでした。ですからヨセフさんは、周りの人にマリアさんに赤ちゃんがいることがわかってしまう前に、マリアさんとの結婚をなかったことにすることで、ヨセフ以外の人と浮気をしたと責められることから、マリアさんを守ろうとしたのです。

こんなふうに、世界で最初のクリスマスは、決して幸せとはいえない状況で始まったのです。でも、そんなふうに悩んで苦しんで、でもマリアさんをできるだけ傷つけない方法を選ぼうとした、優しいヨセフさんに、なんと夢の中に天使があらわれて、こう言ったのです。「ヨセフさん、恐れずに、そのままマリアさんと結婚しなさい。神様の力によって、マリアさんは赤ちゃんを身ごもったんですよ。マリアさんのお腹の中の赤ちゃんは、神さまからのすばらしい贈り物、すべての人を苦しみから救う、救い主なんですよ。」

信じられない、不思議なメッセージですね。でもヨセフさんは、この天使の言葉から元気をいただきました。そして、マリアさんとお腹のイエス様の家族になる決心をしたのです。

ですから、ヨセフさんとイエス様は、実は血がつながっていません。しかしヨセフさんはこうやって、相手を大切にしたいと思う気持ちと、神様が一緒にいてくださるから大丈夫だという信仰、この二つによって、マリアさんとイエス様の家族になったのです。

「神さまが一緒にいてくださるから大丈夫」「神がわれわれと共におられる」このことを「インマヌエル」といいます。ヨセフさんとマリアさんが結婚するのにはたくさんの心配や不安がありましたけれど、「インマヌエル」の神さまが、その真ん中で助けてくださいました。そして生まれてくるイエス様は、ヨセフさんとマリアさんだけではなく、すべての人の救い主となられたのです。心配を抱えたふたりのカップルをとおして、神さまはとってもとっても大きくてすばらしいことをなさいました。これが「わたしたちと一緒にいてくださる」、インマヌエルの神さまのお働きです。