天の国がからし種に譬えられます。イエスさまの蒔かれた種は、はじめは見向きもされない小さな一粒でした。しかしやがて大きな木となり、鳥が休むことのできるほどの大きくなったのです。焦らなくても良いと、イエスさまは私たちに語ってくださっているのかも知れません。
からし種は本当に小さな種です。1ミリにも満たないその大きさから成長した姿を想像することは難しいですが、実りは約束されています。
マタイによる福音書を著したマタイが属した教会は、苦難の中に在ったのかも知れません。宣教の実りを実感できない、迫害に遭う。様々要因が考えられますが、彼ら彼女らは未来に期待を掛けることを諦めませんでした。福音宣教の射程はイスラエル民族のみならず、異邦人へも向けられていたでしょう。そのことが「空の鳥(=異邦の民)」に示されているように思います。
ジャン・コクトーさんの詞にこのような言葉があります。「大きくなるような木の幹に、君の名前を彫りなさい。大理石ではなくて、大きくなるように木の幹に。」小さい頃に読んだこの詞を、私は忘れることができません。私の生まれ育った町には「十勝石」と呼ばれる綺麗な石がありました。十勝石を地面にぶつけて割ると、中は光沢のある黒い色をしているのです。大理石とは、立派な石です。十勝石のように、キレイだな、かっこいいなと思う石です。
石を割って小さくすることはできます。しかし、石を大きくすることはできません。あなたが見つけて手に取ったその大きさ以上にはなりません。コクトーさんは、「君の名前を彫るなら、大理石ではなくて、大きくなるような木に彫りなさい」と語ります。大理石は石ですから、小さくすることはできても大きくすることはできません。では、木はどうでしょう。今は小さい木でも、やがて成長して大きくなるのです。あなたの名前も、木が大きくなれば一緒に大きくなるのだよとコクトーさんは教えてくれています。
イエスさまはからし種という小さな種(1ミリ以下)を手に取って、この種を畑に蒔けばやがて大きくなるんだよと教えてくださいました。どれくらい大きくなるのでしょう?それは、鳥が巣を作れるほどに大きくなるのです。すぐに大きくなるのではありません。長い時間を掛けて、私たちが忘れてしまった頃に、からし種は大きく成長するのです。
聖書のお話を聞いて、すぐに「分かった!」と思えなくても良いのです。それはからし種のようにゆっくりと成長するのです。あなたの心に蒔かれたみ言葉の種が大きくなるように祈っています。
(執筆:中島共生牧師)
*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より
旧版(1987年版)102番「イエスさまのおこえが」
改訂版6番「イエスさまのことばが」
<用意するもの>
大きな紙 えのぐセット 新聞紙など(汚れ対策)
1枚の大きな紙にみんなの手形や足形で大きな木をつくります
・紙の真ん中に足形や筆で大きな木の幹を描きます
・手形で葉っぱを描いていきます
・鳥や鳥の巣、花、空や太陽などを自由に描いてもいいですね
・お庭に小さな種を蒔いて、その種が芽を出したなら、どんな気持ちになるでしょうか。
・空の鳥が巣を作るのはどんな場所でしょうか。
・イエスさまがあなたの心に蒔いてくださる種はどんな種でしょうか。
・あなたの心に蒔かれた種が芽を出したら、イエスさまはどう思うでしょうか。