・神からあずかっているものを、どう用いて生きてゆくかを考える。
・「ルカによる福音書」では、富は擬人化されて「マモン」と呼ばれ、一貫して、人を惑わす魔物のような存在として扱われている。にもかかわらず、この個所では「不正な管理人」のやり口がほめられ、「不正にまみれた富で友人を作る」ことが奨励される。
・もちろん、不正そのものが賞賛されているわけではなく、この管理人の賢い(抜け目のない)方法が賞賛されている。先に述べた「ルカはこの世の富そのものを不正なものとして扱っている」ということを念頭に置くとき、「この世の富は決してきれいなものではないが、かといってそれを軽んじることなく、有益に用いていく」というメッセージとなる。
・この主人である「ある金持ち」は商売人、もしくは地主のどちらかである。
・ここでこの管理人が書き換えた証文は、主人からの借り入れの証文である。つまり、この管理人は、主人が相手から返してもらうはずの小麦や油の借りを勝手に半額にしたことになる。友人を作るために用いられたのは実は主人の財産であり、この管理人はおそらく自分では全く損をしていない。
・「主人の財産」を、「神から預かっている財産」と読み替えることができるだろう。物にせよそれ以外にせよ、私たちは神から預かっているものをこれまで「無駄遣い」してこなかっただろうか。そのことに気づき、その財産で友達を作る…すなわち隣人と分かち合う、そのようなメッセージを受け取ることもできるだろう。
「富」というのは、お金のことです。お金はとっても大切なものですね。お金があることで、私たちはお菓子やおもちゃなどいろいろな物が買えますし、いろいろなことができます。逆に、お金がないということは、本当に大変なことです。
でも、お金は少し危険なものでもあります。聖書の中には、お金を「マモン」という名前の、悪魔のように書いてあるところがあります。お金はまるで悪魔のように、人の心を弱くしてしまうものだ、ということです。お金のことで、人はケンカをしてしまうことがあります。お金のためなら人を傷つけてもいい、と考えてしまったりもします。もちろんお金は生きるために必要なものですが、でも、お金(や、それで買える物)がいちばん大事なものになってしまうことは、とっても危ないことなのです。
だけど、その危険なお金を、私たちは良いことに使うこともできます。
今日のイエス様のお話はとても不思議でした。あるお金持ちが、ひとりの管理人を雇っていました。管理人の仕事は、主人であるお金持ちの財産を預かって、それを人に貸して利子をつけて返してもらったりと、主人の財産をきちんと管理することです。でもこの人は、このお金持ちの主人の財産を無駄遣いして、それが主人に見つかりそうになりました。大変です。無駄遣いしていたという証拠が出てきたら、その人はクビになってしまいます。
困ったその人は、とんでもない行動に出ます。主人の財産を借りている人を呼んで、「あなたは小麦100キロを御主人に借りていますが、半分の50キロにしてあげましょう」と、勝手に借金を少なくしてしまったのです。そうすれば、自分が仕事をクビになったときに、その人たちが助けてくれるだろうと思ったからです。
でも、もとは御主人の財産です。勝手に借金を少なくして、普通だったらものすごく怒られます。しかし、このことが分かったとき、主人は怒るどころか「うまい方法を思いついたな」とほめたというのです。
イエス様がこのお話をされたのは、もちろん「ずるいことをしてもいいよ」と教えるためではありません。この管理人は、これまで無駄遣いしてきた財産を、他の人のために使うことで、友達を増やしました。お金は危険なものですが、使い方をよーく考えれば、自分や人を助けることができます。
イエス様によれば、この管理人は私たちのことで、管理人に財産を預けたお金持ちの主人は神さまです。私たちは神さまから、お金やたくさんのものをお預かりしています。神さまは私たちに、それを大事に、そしてよく考えて使ってほしいと思っておられます。お金はときどき怖いものですが、でもそれを困っている人のために使ったりすることで、人を助けたり、喜びを分け合うこともできるのです。神さまからいただいたものを、大事に、そしてみんなで喜べるように使っていきたいですね。
(執筆: 西川晶子牧師)
*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より
旧版(1987年版)14番「うれしいあさよ」、改訂版3番「うれしいあさよ」。
用意する物
・空箱・画用紙・はさみ・のり又は両面テープ・マーカーペンや色鉛筆、クレヨン。
貯金箱を作る
・画用紙を空箱の大きさに合わせて切って、空箱に貼る。
・好きな絵を描いたり色を塗ったりして、自分の好きなように飾り付ける。
・箱の上部や側面にお金が入れられるよう切れ込みを作り、完成。
・それぞれの家に持ち帰り、少しずつ貯金をしよう。
・貯まったお金をどのように使えば良いかみんなで話し合おう。
・教会学校の先生が寄付や募金について導きながら、一緒に捧げ先を考えよう。
※ 神様からいただいた物に感謝の気持ちを持ち、神様に仕える者として相応しい用い方が出来ますようにとお祈りしつつ、日々の歩みを続けましょう。
私たちは、どのような財産を神さまから預かっているでしょう。それを「抜け目なく」用いるとはどういうことでしょう。