2022年3月20日 四旬節第3主日
ルカ13:1~9 イザ55:1~9 1コリ10:1~13

今週の聖句

「御主人様、今年もこのままにしておいてください。」 
ルカによる福音書13章8節

ねらい

父なる神さまと私たち人間との間に立って、この園庭のように、憐れみ深く執り成してくださるイエスさまの姿を心に刻みます。

説教作成のヒント

・イエスさまは2つの事件を取り上げて、「罪深い者が招いた死であるのか?」と人々に問いました。

「ピラトが複数のガリラヤ人を見せしめに殺害した」。「シロアムの塔が倒れて18人が死亡した」。

・いずれも「そうではない」というのが答えで、同じ言葉で3節と5節で繰り返しています。

「決してそうではない。言っておくが、あなたがたも悔い改めなければ、皆同じように滅びる」。

・人々は、不幸な死を、人間の罪の結果が招いた死だと受け取りました。しかし、それは死についての正しい理解だと言えるでしょうか。イエスさまは「悔い改め」、すなわち、立ち帰り、方向転換をして神さまのもとへ行くよう呼びかけておられます。どのような死であっても、滅びから救いへと引き上げてくださる、永遠の命を与えることのできる神の恵みのもとで、死を見つめ、捉え直す必要があります。十字架の愛によって死を受け取る時に、不慮の死も、かけがえのない命であり、神さまのみ腕に抱かれ、永遠の命として保たれていることを覚えます。

・「悔い改めなければ」とは、「反省して正しい行いをしなければ」と言っているのではありません。神さまのみ許へ立ち帰り、「生き方の方向転換をしなければ」と言っているのです。

・イエスさまに世話をされたイチジクの木は、やがて、霊(命)の実を結びます。「霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制です」(ガラテヤ5:22)。

豆知識

・イチジクの木

聖書の中で最初に出てくる実在の果物は、イチジクです。アダムは自分たちが裸であることを知ると、イチジクの葉をつづり合わせて、腰を覆いました(創世記3:7)。しかし、神の言葉に背いて、罪を犯したアダムに対して、神さまは皮の衣を着せ、肉体(人間)の弱さを保護し、守ってくださいました。この庭師と同じように、命を慈しみ、み手を伸ばし、アダムの世話をされた神さまのお姿があります。

説教

ピラトの残酷な事件を、イエスさまに告げる人々がいました。何人かのガリラヤ人が犠牲となって命を落としてしまったのです。人々はショックで、どのように受け取ったらよいのか、イエスさまは、どうお考えになるのか、聞いてみたかったのでしょう。私たちの生活する日本の社会でも、時々、信じられない、悲しいニュースが流れる時があります。昨日まで元気で普通に生活していた人々が、事件や事故で、突然、命を絶たれてしまうのです。私たちはそれを、どう受け止めたらよいのでしょうか。

ユダヤ人の人々は、不幸な死は、人間の罪が招いたもので、神さまからの呪いだと受け取りました。そして、十字架の死は、最も呪われた死でした。しかし、本当にそうでしょうか。不幸な死を、最も悲しんでおられるのは、神さまです。神さまは、命の滅びを望みません。それで、イエスさまを送って、十字架に架けたのですよね。そして、イエスさまは、よみがえり、復活しました。死者に望みを与えたのです。十字架の愛によって、死を受け取る時に、おもいがけない死も、神さまのみ腕に抱かれ、イエスさまの内に、永遠の命が保たれています。

死者を見送った人々は、悲しみに打ち砕かれて、なかなかそうは考えられません。毎日を喜べずに、いちじくの木に、実を結ぶことができなくなってしまいました。人間には、生きていても、ちっともうれしくない、喜べない、苦しみの時があります。そういう時は、命の実を結べなくなってしまうのです。でも、イエスさまは、この庭師のように、神さまに執り成して、一生懸命にその心が慰められるように、よく世話をしてくださるのです。イエスさまが復活したことで、悲しんで死んだように過ごしている人にも、そして、死者にも、復活の望みが与えられました。イエスさまを信じて、望みを抱けば、愛、喜び、平和・・・、再び、いろいろな霊の実、命の実を結ぶことができます。

この庭師は、どうやらイエスさまのようです。「イチジクの木を、よく手入れして、肥料や水を与え、よく育つように、わたしが助けます」と言うのです。それで、主人も「よし、分かった。それならもう少し待ってみよう」と考え直してくれました。ふところが深いですね。私たち人間は、すぐにダメかも・・・と、あきらめてしまうところがあります。でも、この庭師のように、育ててみよう、今年がダメでも来年、来年がダメでも、次の年・・・。神さまは、善い方ですから、限りなく憐れみの愛を注いでくださいます。

(執筆:小勝奈保子牧師)

分級への展開

さんびしよう

*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より

旧版(1987年版)114番「やさしいめが」、改訂版119番「やさしいめが」。

やってみよう

*イチジクについて、調べる。(木や実を見たことがあるかな?実を食べたことがあるかな?)イチジクはとても古くから、食用として親しまれていた植物です。挿し木で増えるので、栽培が簡単です。実がならなくなることがあるのかな?

*庭師さんのように、植物を育ててみよう!春まきの種をみんなでプランターに蒔いて花が咲くのを楽しみにお世話してみよう。実のなるもの、野菜などでも面白いかもしれませんね。

はなしてみよう

一年後、主人がぶどう園に来て、イチジクの木を見ると、実がありません。(または、実が一つありました。)

主人と園庭はどんな話をするでしょう?自由に話し合ってみよう。