2021年5月9日 復活節第6主日
ヨハ15:9~17 使徒10:44~48 1ヨハ5:1~6

今週の聖句

「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。」
ヨハネによる福音書15章12節

ねらい

・主イエスが十字架でお示しになった愛と赦し、ここに私たちの歩むべき道があります。

説教作成のヒント

・主イエスの与えた「新しい掟」とは、どこが新しいのでしょうか? 旧約では「自分自身を愛するように」と基準が自分自身に置かれていたのに対して、新しい掟は、主イエスご自身の姿にその根拠が置かれているのです。この言葉は「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」と続きます。ここに示されているのは十字架の主イエスです。私たちも、他者との関係の中で愛と赦しを経験します。その中にこそ、各自に与えられている小さな十字架が秘められているのです。

・互いに愛し合えと言われても、愛することの出来ない私たちの現実があります。その現実を誰よりも主イエスはご存じでした。従って、無理にクリスチャンぶったり、善人ぶる必要はないのです。あの威勢ばかり良くて、肝心の時には弱くふがいなかったペトロが、殉教を恐れずに宣教をすることが出来たのは、主イエスの愛と赦しを実際に体験したからです。主イエスの愛と赦しを体験したものだけが、それを分かちあうことが出来るのです。

・今日の聖句は十字架のお姿を指し示すものに他なりませんが、その前に主イエスはもう一つのお姿を13章でお示しになりました。それは弟子たちの足を洗う「洗足」です。ここに主がお語りになる「互いに愛し合う」姿が示されています。

・丁度この日は「母の日」にあたります。その関係での展開も良いでしょう。

豆知識

・「愛」は仏教では一種の煩悩でしかありません。異性への愛、親子の愛、友人への愛、それらは「執着」に他ならないからです。ですから、江戸時代に最初に聖書の言葉を日本語に翻訳する時、「愛」という言葉は使われませんでした。そして聖書の愛を表現するために使われたのが「お大切」という言葉です。これは優れた翻訳だと思います。愛しなさいと言われても、私たちはどうしたって愛せない人が存在します。しかし、どんなに嫌いな人であっても「大切」にすることは出来ます。また「大きく切る」と書くこの言葉は、御自分の命を十字架の上に捧げて下さった主イエスの愛を文字通り表現しています。また、仏教で愛は煩悩としての「執着」ですが、聖書の神さまは私たちが大切で大切でたまらない。一人もその命を失いたくないという神の愛ゆえの執着なのです。この神さまの執着がなければ、私たちとっくに滅んでいたことでしょう。

説教

今日は「母の日」ですね。創世記に出てくるエバは、最初の女性でありお母さん。エバは「命」という意味です。神さまはこのエバをアダムのあばら骨からお造りになりました。あばら骨というのは心臓、つまり命を守る大切な骨です。頭の骨でも足の骨でもなく、あばら骨から造られたというのは、男と女は対等な人格的存在・パートナーであるということです。それだけでなく、痛みが伴う出来事であったということです。

深い所でお互いが出会い、お互いが一つとなるためには自分の体の一部がとられるほどの痛みを通して、愛という絆が深められていくのです。アダムは体の痛みを通して、パートナーであるエバと出会うことが出来ました。みんながお母さんのお腹から生まれてくる時にも、お母さんは大変な痛みを通して、みんなの命を産みだして下さったのです。私たちの絆というものは、喜びを通しても勿論そうですが、それ以上に悲しみや痛みをどれほど共有し共感しあえるか、ということにその絆の深さが表れてくると思うのです。そして、信仰も同じです。イエス様の十字架は、そのことを象徴的に示しているのです。

母の日と言えば赤いカーネーションですが、こういう話しがあります。主イエスが十字架にかけられた日、それを見守る母マリアが流した涙の跡に、一輪の赤いカーネーションが咲いたといわれる伝説です。この赤の意味は、主イエスの血潮の赤であると同時に、私たちを生かす力である聖霊の赤です。つまり、クリスチャンにとってカーネーションは「母と子」の関係を越えた神さまとの深い関係を象徴する重要な意味を持つ花となったのです。主イエスご自身、赤ちゃんとして母マリアのお腹で育ち、生まれてからも両親をはじめ多くの人々の愛によって成長されました。それは愛を与えるべき主イエスご自身が、先ず愛を受けるためだったのではないでしょうか。私たちは、愛されることを知って、初めて愛することができるのです。

分級への展開

さんびしよう

*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より

旧版(1987年版)35番「しゅ われを あいす」、改訂版124番「あいのしゅイェスは」。

やってみよう

☆母の日カードを作ります

* 画用紙、折り紙(赤色、緑色)を、用意する。

① 台紙となる画用紙を半分に折る。

② 台紙の表になる面に、『お母さん いつも ありがとう』の言葉を書く。

③ 赤色の折り紙で、カーネーションを折る。緑色の折り紙で、がくを作る。

(カーネーションの折り方は、「カーネーションの折り方 折り紙」で、検索すると

 色々な折り方が出てきます。子供たちと作りたいものを探してみてください。)

④ 台紙の内側に作ったカーネーションを貼る。その下に今日のみ言葉を書いて、母の日のカードの出来上がり。

お母さんに渡して、感謝の気持ちを伝えよう!

はなしてみよう

・他人を愛することは簡単なことでしょうか、難しいことでしょうか? なぜそのように思ったのでしょうか話し合ってみましょう。

・「大切にする」ということはどういうことでしょうか? 「愛する」という言葉を「大切にする」と置き換えてみたらどうなるでしょうか?

・「絆」という漢字について話し合ってみましょう。