2020年10月18日 聖霊降臨後第20主日
マタイ22:15~22 イザ45:1~7 1テサ1:1~10

今週の聖句

「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」
マタイによる福音書22章21節

ねらい

社会の一員として担うこと(ルール)もあるが、神さまの心は何であるかを考え、それを選び取ることが出来るように祈る。

説教作成のヒント

イエスはユダヤ社会の宗教的指導者たちを、悪い農夫や婚宴への招待をないがしろにする客にたとえて話していました。それに憤慨したファリサイ派の人々がイエスを陥れようと考えた質問が、ローマへの税金でした。自らを神格化するローマ皇帝への納税を肯定すれば、神を裏切り、イエスを信頼する人々を失望させることになり、否定すれば皇帝への反逆者として告発される巧妙なものでした。イエスは納税用銀貨を取り上げ、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に」と答えます。社会において共に暮らす私たちには従わねばならないルールや権威がありますが、すべてのものは神の恵みであり、神に生かされる喜びがあります。それに反して弱者を傷つけるようなルールや権威ならば、抵抗することもまた、神のものは神に返すことであるといえるでしょう。

豆知識

当時のデナリオン銀貨には、皇帝ティベリウスの像と「崇拝すべき神の、崇拝すべき子、カイザル・ティベリウス」と文字が刻まれていました。生活の上で銀貨を使わなければならないけれども、造り主である神さまへの後ろめたさやローマへの不満もあったと想像できます。

説教

この国に暮らすみんなのために、公園や学校や図書館があります。そこにいくために道路があり、信号があり、橋もあります。交番や消防署もあり、そこで働く人達がいます。この国だけではなく世界のために他の国との話し合いをする仕事をする人がいます。それらの必要なものを作ったり、みんなのために働く人を支えたりするために、みんなで少しずつお金を出し合うことが決められています。このお金のことを税金といいます。知っていますか。イエスさまの時代にも税金を出し合うルールがありました。

ある時、イエスさまを悪者にしようとする人たちが、イエスさまに質問をしました。それは、神さまとルールとどちらが大切ですかという質問です。どちらかひとつとこたえるとどちらの場合もイエスさまを悪者にすることができる質問でした。そこでイエスさま、「王さまのものは王さまに、神さまのものは神さまに返しなさい」と教えました。この答えは、イエスさまを悪者にできない、良い答えでした。王さまやルールも大切にしなければならないけれど、神さまの心が一番大切ですということです。

リトアニアという国で働く杉原さんという人がいました。80年前のことです。あるとき杉原さんのところにユダヤの人が助けを求めてやってきました。ユダヤの人たちはこの時のドイツという国が自分たちを捕まえてひどいことをしようとすることから逃げてきたのでした。それで遠い国に逃げるために日本を通って行く方法があり、そのために日本を通ってもよいという証明書(ビザ)をもらわなければなりませんでした。杉原さんは証明書を出す仕事をしていましたので、日本の政府に出してもよいか相談しました。でも日本はドイツと仲がよいのでドイツがしたいことを邪魔することもできないと、日本はユダヤの人たちに証明書は出せないと決めました。杉原さんはなにか自分にできることはないかと神さまにお祈りしました。そして、国のルールでは許されないけれど、ユダヤの人たちを助けるために証明書を書くことにしました。ルールを守ることよりも命を守ることが大切だと考えての勇気ある行動でした。こうして杉原さんは2139の証明書を書き、6000人の命を助けました。杉原さんは神さまの心を選んだのでした。

分級への展開

さんびしよう

*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より

旧版36番「しゅイエスの みちを」、改訂版120番「しゅイェスのみちを」。

やってみよう

☆「主の祈りカード」を作って主の祈りを覚えてみよう

ローマ時代のコインに皇帝の肖像と銘が刻まれているのと同じように、私たち自身の存在(心)に「キリストのもの」という刻印が刻まれています。

社会も私たち自身も神様の御旨のうちにあるよう、神様が教えてくださった主の祈りを覚えて、一日の始まりや終わりの時に祈ってみよう。

準備

・はがきサイズの少し厚手のカード ・クレヨン、色鉛筆 ・写真立て(あれば)やカードを貼れる台紙

活動

・カードに主の祈りを書き、文字のないところに好きな絵を描いたり、色を塗る。

(字が書けない小さな子ども達には主の祈りを書いたカードを用意して、そこに絵を描いたり、色を塗る)

・カードを写真立てに入れたり、台紙に貼って家に飾れるようにして、自分だけの「主の祈りカード」のできあがり。

はなしてみよう

神さまのものを神さまに返すってどんなことだと思いますか。

これまでに神さまに何かを返したと思うことはありますか。