・平和があるようには、イエスさまの時代の日常のあいさつ言葉でした。わたしたちなら、「こんにちは」とか「やぁ」に相当する。この「平和があるように」とは、その後のキリスト教界にとっても、信仰の理解の上でも、信仰生活でも絶大な意味を帯びるようになりました。しかし復活後の第一主日、復活顕現に際して、イエスがこの言葉をおっしゃった意味を思いめぐらしたいと思います。それは日常性にある神の恵みの体験を思わせるものであるからです。
・教会歴は長い四旬節をおえて、復活祭を迎えました。いずれの教会でも喜びを共にした翌週にあたります。福音書は復活の後について記しています。それは復活のイエスが日常の私たちと共に歩む主であることを考えさせます。私たちにとって、このときのイエスを肉眼で見ることはありません。「見ないで信じる信仰」は奇跡的なことであり、同時に日常的なことでもあることを思います。どちらも「恵み」に属する事柄です。イエスのご臨在を想う鍵は、「あなたがたに平和があるように」という言葉をイエスがここで用いられた設定にあります。日常ではない場面で日常の言葉を用いられたイエスに救いを見るような思いがします
イエスさまは町や村をまわって神様のお話をしておられました。とても素晴しいお話だったので、イエスさまが来ると「イエスさまが来たぞ」といってたくさんの人たちがイエスさまのところに集まってきていました。でも、イエスさまの教えを聞きたくないと思っていた人たちもいました。悪い思いがむくむくと膨らんでイエスさまを十字架にかけてしまいました。イエスさまのお弟子さんたちはイエスさまのことが大好きでしたから、とても悲しんでいました。悲しいだけではなくて、イエスさまを十字架にかけた人たちが自分たちに酷いことをするのではないかと心配して、家の中に鍵をして息をひそめていました。イエスさまがこれまでお弟子さんたちに、「私は復活します」と何度もいわれていたのだけれども、このとき、お弟子さんたちはすっかり忘れていたのだと思います。家に鍵をして、怖くて、怖くて仕方がなかったのかもしれません。
そこへイエスさまがお部屋に入ってこられました。とても不思議なことが起こりました。家に鍵をして、だれも入ってこられないようにしていたのに、イエスさまはお入りになったからです。それだけではありません。もう会えないと思っていたイエスさまが、自分たちのところに来てくださったから、お弟子さんたちはうれしいやら、驚くやら、このときのことを想像すると、大変な騒ぎだったんじゃないかと思います。
そこでイエスさまがおっしゃったお言葉は、「あなたがに平和があるように」でした。とっても素敵な言葉だと思います。イエスさまの時代の言葉では、「シャローム」という言葉だったそうです。挨拶の言葉だったのです。「こんにちは」とか「やあ、元気」といったように私たちも普段から使っていた言葉です。想像してみてください。お弟子さんたちは、部屋に鍵をして、怖くてこわくて仕方がないときだったので、すぐにイエスさまとわからなかったのかもしれません。イエスさまが「私は復活します」とおっしゃったこともすぐには思い出せなかったのだと思います。でも、この言葉を聞いて、「ああ、イエスさまだ」と我に返ったのではないかと思います。
<わたしも>その昔、大切なお友達がいて、ご病気で突然なくなったことがあります。ずいぶん前のことですが、お友達が私と別れるときいつも言ってくれていた「ばいばい」とお別れのあいさつをしてくれた時のことをよく覚えています。優しいお顔でした。これは不思議なことなのだけれども、普段はそのお友達とおしゃべりしたときの内容や、一緒にしたことなど思い出すことはありません。でも、時々お友達がご挨拶してくれたときの一場面が思い出されることがあります。そのときは、そのお友達と過ごしたいろんな思い出がよみがえり、お友達がとっても近くにいるような気持ちになり、心が温かくなります。もしかしたら、この時のお弟子さんたちも同じような体験だったのかもしれないな、と思います。これまでイエスさまが数知れないほど、お弟子さんたちを交わされた「シャローム」という挨拶は、ただイエスさまを思い出しただけでなく、それまでイエスさまが教えてくださった大切なことも思い出したはずです。
このとき、お弟子さんたちは、実は家の戸に鍵をしていただけではありませんでした。心にも鍵がかけられていたんだと思います。とてもつらいことがあったり、嫌なことがつづくと、もう誰の言うことも聞きたくない。会いたくない。そういうときがあります。でも、イエスさまはそういう私たちの心に来てくださって、「あなたがたに平和があるように」とお声をかけてくださいます。これからもイエスさまと一緒に歩んでゆきたいと思います。
*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より
□40番 「よあけのほしが」
□改訂34番 「キリストの平和」
イエス様は「あなたがたに平和があるように」とご挨拶しました。これはヘブライ語では「シャローム」という言葉です。
みんなも、お手本を見ながら、ヘブライ語で「シャローム」って書いてみましょう。
びっくり1 みたこともない文字です。
びっくり2 右から左に書きます。
本来の格好良い書き方と、手書きでの簡単な書き方があります。まずは簡単な書き方で書いてみましょう。
自信があるお友達は、本来の書き方に挑戦してみよう!
(Lv.1)イエス様はお弟子さんたちに、何といって挨拶した? (答え:「あなたがたに平和があるように」or「シャローム」)
(Lv.2)イエス様は、お弟子さんたちにどこを見せた? (答え:手と脇腹)
(Lv.3)イエス様は、なんでそこをお弟子さんたちに見せたのでしょう(答え:十字架で出来た傷を見せて、イエス様が本当に十字架に架けられたことを示した)
(Lv.4)「週の初めの日」って何曜日? (答え:日曜日。イースターが日曜日だったので、教会にとって日曜日が大事な日になりました)
(Lv.MAX)旧約聖書の最初の方に、「息を吹き入れた」場面があります。それはどこでしょう。(答え:創世記2:7。息を吹きかけるって、とても特別なことなんです)