2017年3月5日 四旬節第1主日
マタイ 4:1-11 創世記 2:15-17,3:1-7 ローマ 3:21-31

今週の聖句

「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる。」
マタイによる福音書4章4節

ねらい

イエスさまが悪魔の誘惑を拒んだのは、父なる神さまへの強い信頼ゆえだった。私たちも、神さま(の言葉と業)に信頼して生きていくことを語りたい。

説教作成のヒント

かつて、エジプトの地を脱出したイスラエルの民は、40年間荒れ野をさまようこととなった。その間、民は食糧となるパンや水に飢え、苦しみ、主になぜエジプトから導き出したのかと、不満をぶつけた。一方、同じように空腹だったイエスさまは、今日の聖句のように悪魔の誘惑をきっぱりとはねのけた。

イエスさまはこのことを通して、神さまの言葉に信頼して生きることを教えられたのである。

他の二つの誘惑もまた、イエスさまの神さまへの信頼を揺るがそうとするものであったが、イエスさまはこれらについてもきっぱりと退け、神さまへの信頼を貫いた。ここに、救い主の姿を見ることができる。

豆知識

聖書の中で、誘惑とは人間を悪に誘うこと。悪魔は神さまのみ心から人間を引き離すために誘惑を仕掛ける存在として登場する。

説教

イエスさまは、神さまの霊に導かれて、荒れ野へ行きました。荒れ野という所は、雨がほとんど降らないので水も少なく、草も木もほとんど生えない場所です。

その荒れ野で、イエスさまは一人で40日も、何も食べず、水もほとんど飲まない「断食」をして過ごしました。どんなにお腹がすいていたでしょう。

その時、悪魔が、イエスさまの所へ来て言うのです。「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ」。石をパンに変えてお腹を満たしたらいいではないか、というのです。イエスさまは、今すぐにでもパンを口にしたかったかもしれませんが、きっぱりと言うのです。「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる。」

……人は食べ物が満たされても、それだけで生きられない、人が生きるには神さまの言葉が大切だと言われたのです。

神さまの言葉は聖書に書かれていますね。聖書の言葉は、私たちが悲しい思いをしたり、寂しかったりする時にも、神さまが一緒にいてくださると、慰め、元気づけてくれます。また、世界のあちこちで起きている戦争で、たくさんの人々が傷つき、辛い思いをしていますが、聖書に書いてある神さまの言葉は、人々が争うのでなく平和に生きることを教えてくれるものです。どうしたらいいのかと判断に迷った時には、神さまのみ心を教えて、私たちを導いてくれるものです。イエスさまはこの神さまの言葉を、どこまでも信頼して生きようとしているのです。

次に、悪魔はイエスさまを高い神殿の屋根の上に連れて行き、こう誘惑します。「神の子なら、ここから飛び降りたらどうだ」、「神が天使を送って支えてくれるはずだ」。

それに対してイエスさまは「あなたの神である主を試してはならない」と答えられました。イエスさまは、神さまは信頼するべき方であって、自分を本当に支えてくださるか?と試すことはよくない、と言われたのです。ここでも、イエスさまは悪魔の誘惑をはねつけ、神さまを信頼するのです。

さらに、悪魔はイエスさまを高い山に連れて行って、世の国々の繁栄ぶりを見せて「わたしを拝むなら、これをみんな与えよう」と言います。イエスさまはその誘惑に乗らずに、「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある」ときっぱりと悪魔の誘惑を断ったのです。

すると、悪魔はとうとうイエスさまのもとから離れ去りました。

このように、今日のイエスさまは悪魔のすべての誘惑に勝ち、どんな時も神さまを信じ従って生きて行こうとされたのです。

わたしたちにも、神さまが喜ばないことへ誘惑され、神さまから離れそうになる時があるかもしれません。

でも、神さまはわたしたちを愛され、救いに導かれる方です。ですから、イエスさまがそうだったように、私たちも神さまから離れず、神さまの言葉と働きを信頼していきたいですね。

分級への展開

さんびしよう

*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より

□60番 「かみよわたしの」

□改訂51番 「おそいくるライオン」

やってみよう

☆悪魔の誘惑とイエス様の言葉を描いてみよう。

用意するもの:荒野・神殿・山の絵、白と黒の人型(×3)

(例)

(白い人形はイエス様、黒い人形は悪魔に見立てる)

作り方…それぞれの場面の紙に、まず始めに悪魔を置き、誘惑の言葉を言ってみる。

・荒野では「神の子ならこれらの石がパンになるように命じたらどうだ」

・神殿では「神の子なら飛びおりたらどうだ」

・山では「もしひれ伏してわたしをおがむなら、これをみんな与えよう」

それぞれの場面にイエス様を貼り、イエス様の答えた言葉を書いてみる

・ 荒野では?(4:4)

・ 神殿では?(4:7)

・ 山では?(4:10) →聖書から見つけて書いてみよう

・ひとつひとつ貼ったら、紙を手に持ち、悪魔を振り落とす。

話してみよう

・ 荒れ野に40日間、断食して過ごされたイエスさまの苦しみを考えてみよう。

・ 私たちはどんな時、誘惑に会うことがあると感じるだろう?その時、どうしたかな?