ねらい

主イエスを愛するということは、「わたしの羊を飼いなさい」という主イエスの言葉に従うことである。自らの身を守る術を持たない「羊」を飼うということは、この世界において弱く、小さくされている者を守り、共に生きることでもある。主イエスへの愛は、弱く、小さくされた者と共に生きる時にこそ、この世界の中で実現していく。

説教作成のヒント

復活された主イエスによってペトロは「わたしの羊を飼いなさい」「わたしに従いなさい」と命じられる。主イエスがシモン・ペトロに3度「私を愛しているか」と尋ねるのは、十字架に際してペトロが3度に渡って主イエスとの関係を否定したことに対応している。復活された主イエスの言葉は、ペトロに新しい命へと向かわせる。それは、自分のことだけを考える者としてではなく、助けを必要とする他者へと関わる者へと変えてゆく力となる。

豆知識

シモン・ペトロのその後の活躍については使徒言行録に描かれているが、その最期については聖書では触れられていない。13世紀末ジェノヴァの大司教となったヤコブス・デ・ウォラギネが著したキリスト教聖人伝説集「黄金伝説」によれば、シモン・ペトロは皇帝ネロの時代にローマで25年間宣教を続け、ローマ司教を務め、その後ネロの怒りを買い投獄されるが、信徒の手引きによって脱獄、心ならずもローマを離れようとする。しかし市門のところでキリストが歩んでこられるのを見て「主よ、どこへおいでになるのですか（ドミネ、クオ・ヴァディス）？」と尋ねたところ、「ローマに行って、もう一度十字架にあがるのです」という答えを聞く。ペトロは「それでは、わたしも、帰ってあなたとごいっしょに十字架にかけられます」と応え、市中に引き返し、十字架刑となった。しかし自分は主と同じ格好で十字架にかかる価値はないと主張し、頭を下にした逆さ十字架にかけられた、とされている。

説教

今日の聖書では、復活されたイエス様と出会った弟子達が一緒に食事をしていました。するとイエス様はペトロさんに「あなたはわたしを愛しているか」と3回も尋ねて、その度にペトロさんは「はい、愛します」と応えなければなりませんでした。実は、ペトロさんはイエス様が捕まった時、心配でその後をついていったのですが、誰からから「この人はあのイエスという人の仲間だ」と言われたとき、怖くなって、「いえいえ、違います。あんな人のことなんか知りません」と3回も言って逃げ出してしまっていたのです。復活されたイエス様は3回「あなたはわたしを愛しているか」と尋ねることで、ペトロさんがもうイエス様のもとから離れることがないように、その度に「わたしの羊を飼いなさい」と命じられるのでした。

「わたしの羊」というのは何のことでしょうか。羊は大昔に家畜になってしまったので、自分の身を守るための武器がありません。だから、飼い主にただついていくしかないのです。イエス様が「わたしの羊」というのは、自分の身を守ることも出来ず、生きるためにはただイエス様についていくしかない、弱い、困っている人たちのことを指していたのでした。そしてイエス様はペトロさんに、そういう弱い、困っている人たちのために働くことを命じたのでした。それは、それはイエス様の愛をたくさんの人たちに伝える役割でした。イエス様の「わたしの羊をかいなさい」という言葉を聞いているうちに、ペトロさんは弱く困っている人たちを助けて、イエス様の愛を伝える人へと変えられてゆきます。イエス様は最後にペトロさんにこう命じます。「わたしに従いなさい」。イエス様に従うペトロさんと、イエス様の愛はいつも一緒にあって、ペトロさんを動かして、イエス様の愛を伝え行くことになりました。

ペトロさんによって伝えられたイエス様の愛は、今、私たちも伝えられています。そして今度は、わたしたちが、イエス様に従ってイエス様の愛を伝える時、イエス様の愛はわたしたちといつも一緒なのです。

分級への展開

さんびしよう

＊讃美歌は”こどもさんびか”（日キ版）より

□６７番「ペテロは」

□改訂版５３番「ペトロは」

話してみよう

イエス様が命じられる「わたしの羊を飼いなさい」というのは、自分達にとってはどんなことか考えられるかを話し合ってみる。

やってみよう

☆み言葉こいのぼりを飛ばそう

＜用意するもの＞大きめの封筒、はさみ、ストロー、マジック（色鉛筆）

①封筒の開いてる部分をこいのぼりの尾の形に切る。

②こいのぼりの目やひれの模様をつける。

③みことば「わたしの羊を飼いなさい。

④尾っぽにストローを差し込み吹いて飛ばす。