・ 天の国の報酬は、その人の働きの量や質によるものではない。
・ 主人が与える報酬は、自分の能力に応じたものではなく、賜物であることを伝える。 ★ 説教作成のヒント
・ 「順番抜かし」や「不公平」というキーワードをもとに、この主人(イエスさま)の願いをしっかりと捉える。
・ それぞれの労働者にわが身を置き換えて考える時間や機会をつくる。
・ ぶどうは短時間の間に同時にその実を収穫する必要があるため、ここで雇われた労働者は「収穫」のための日雇い労働者であろう。ブドウの収穫は畑の大きさにもよるが 1 週間ほど続く。
・ 1 デナリオン=1 日の日当。という考え方の根拠となった物語。
たっちゃんの通う保育園には、たまにおいしい手作りのお菓子を持ってきてくれる山田さんというおばさんがいます。山田さんは昔、保育園で働いたそうで、今でも子どもが大好きで、おいしいお菓子ができると、子どもたちに食べてもらいたくて、持ってきてくれるのです。山田さんのつくるお菓子はそれはそれはおいしくて、子どもたちも山田さんと、山田さんが持ってきてくれるお菓子が大好きでした。 おいしいかぼちゃのクッキーが焼けたということで、山田さんは今日もお菓子をもって保育園に遊びに来ました。山田さんの姿と、山田さんが抱えている袋を見ると、子どもたちは大喜びです。ソワソワしながら待っています。すると先生がやさしい声で「みなさーん、山田さんが今日もお菓子をもって来てくれましたよ。おかたずけが終わった人から順番に山田さんの前にならんでください」と言いました。子どもたちは大急ぎで自分たちが使ったおもちゃや絵本をかたづけました。そしてみんな大急ぎで山田さんの前に一列に並びます。たっちゃんも大急ぎでおもちゃをかたづけて、落ちているごみも拾ってまわりをきれいにしてから列に並びました。お掃除をしていたので列の順番は後ろから 3 番目です。
いつもなら、前の人から順番にひとつづつお菓子を渡していくのですが、今日の山田さんはいつもと違いました。列の後ろの人からかぼちゃクッキーを渡していったのです。しかもみんなひとつづつもらいました。たっちゃんは自分が一つもらったのは嬉しかったのですが、一番先に並んだお友達は、きっと 2 つとか 3 つとかもらえるんだろうなぁと、うらやましく思っていました。しかし、みんなひとつづつでした。みんなにクッキーが行き渡ると、先生が「さぁ、みなさん、山田さんにお礼をいいましょう」と言いました。すると列の一番先頭に並んでいた次郎くんが言いました「先生、ずるい!せっかく一番前に並んだのに、なんでみんなと一緒の数しかもらえないの?こんなことから急いで並ぶんじゃなかった!」。ほかのお友達もぶつぶつ言っています。たっちゃんも同じように思いました。すると今度は山田さんが次郎くんやみんなに言いました、「そうねぇ、でも、次郎くん、はじめは何個もらえると思ってた?」次郎くんは「1つ」と答えました。山田さんは続けます「でしょ、私もこのクッキーをみーんなに食べてもらいたかったの。一生懸命おかたずけしたことはとっても素晴らしいことだけど、列の最初の人も最後の人も、私は同じようにクッキーを食べてもらいたかったの。」たっちゃんははじめは列の最後の方なのに最初に並んだ次郎くんと同じだけクッキーもらっていいのかなぁってちょっと心配していましたが、山田さんの話をきいてちょっとうれしくなりました。次郎くんも山田さんの話を聞いて、自分の手にあるクッキーが最初よりもっとおいしそうに見え、みんなで山田さんのクッキーを食べることができてうれしいなぁと思いました。
こうして、山田さんからもらったクッキーは、みんながおいしくいただきました。
* 讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より
□ 53番 「しゅにしたがいゆくは」
□ 改訂119番 「主に従うことは」
<説明>今日の福音書のとおり、実際にロールプレイをやってみる。
<まず、役柄を決める>
・ナレーター、主人(雇う人、時間をはかる人)、監督、ぶどう園で働く労働者【明け方から(朝一番)働く人、9 時、12 時(昼から)、午後 3 時、5 時(夕方から)】の人々。
<ロールプレイのすすめ方>
・ナレーター:20:1 「天の国は次のようにたとえられる。ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇うために、夜明けに出かけて行った。」
・主人:マタイ 20:2 「…一日につき一デナリオンの約束で、労働者をぶどう園に送」るぞ(最初の約束をしっかりと告げる)。【一デナリオン(例):あめ玉、お菓子、カードなど】
・主人は労働者に呼びかけ【(例)「次は○時の人、働いて!」】(順次、5 時の人まで)、順に雇い、働いてもらう【労働(例):折り紙で、手裏剣、折り鶴を折るなどの労働】。労働時間は 1 分毎など、時間を計りながら雇い人を働かせる。
・ナレーター:20:8 「夕方になって、ぶどう園の主人は監督に『労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』と言った。」
・監督:約束の「一デナリオン」渡す(注意:5 時の人から順に配ることを忘れずに!)
・主人:労働者たちに感想を聞く(不平、不満がでないか?!もし出たら…)
・主人:20:13「主人はその一人に答えた。『友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。
・主人:今日のイエス様のたとえ話の最後の言葉を言う。「20:14 自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。20:15 自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。」
<参考:こどもたちと一緒に、イエス様の言葉を考えよう>
イエス様の 20:15 の言葉「自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。』の原語は、直訳すると、「私に良い(○)ことを、お前の目に悪い(×)のか」という言葉になります。 他の訳では――・<岩波訳>「私のものについて、私が好きなようにするのがいけないとでも言うのか。それとも、私が寛大なものだから、君の目がよこしま(嫉妬深い、貪欲な、の意)になったのか。」
・<塚本虎二訳>「わたしがしたいようにしてはいけないのか。それとも、わたしが親切にしてやったのがうらやましいのか。」などもご参考に。
・兄弟がいる人はお父さんやお母さんに、いない人は教会の中で子どもが二人以上いる大人に兄弟でどっちが好きか聞いてみよう。
・順番抜かしや不公平されことってある?
・明日も日雇いの仕事があります、みなさんだったら何時に広場に行きますか?