人間の目は、目に見える大きく高いものに注がれ、そこに価値があると思われやすい。大きな工作機械は小さな数々の部品からなっており、小さな部品一つでも欠ければ用を果たさない。大事なのは一つの小さな部品なのである。人間の大きな関心が向けられるところ、そこがその人の神だと聖書は考える。天の国は現在の目標とされず見過ごされがちである。
この日の福音書の日課では、毒麦、からし種、パン種の3つが天の国にたとえられている。幼児向けの説教の場合、複数の話題は聞く者に混乱をきたす。一つに絞ったほうがいいだろう。これは、この箇所に限らず、どの箇所においても心がけていただきたいことである。
「からし種」…3月から4月にかけてイスラエルを訪れると、ガリラヤやイズレエル平原の各地で、菜の花に似た黄色い花の群生を見ることができる。菜の花よりも一回り大きなこれが「からし種」で、その種は1ミリに満たない。聖地の植物図鑑や花図鑑に掲載されているので確認してほしい。
ある日、ハジメ君はお母さんのお手伝いをしてパンを作りました。いつもはパンを作る機械で作ってしまうのに、その日はお母さんが自分たちの手でパンの生地を作ろうというのです。ハジメ君はまず両手をしっかりと洗いました。それからビニールの手袋をはめてもらい、パン生地をこねる作業を始めます。お母さんは粉に水を加えて、バターを少し入れて、それから別の粉のようなものを入れました。「お母さん、それなあーに?」。「これは、イースト菌と言ってね、パンをふくらます働きをするの。これがないとね、ふっくらとしたパンにならないのよ。イースト菌は小さいけど、とっても力があって、ほんの少しだけで十分なのよ」。「ふーん。イースト菌ってすごいんだね」。
それから二人は、パン生地をこね始めました。「お母さん、ずいぶん力が要るんだね」。「そうよ。しっかりこねないとおいしいパンにならないの」。ハジメ君は両手でパン生地にのしかかるようにして、力いっぱいこねていきました。「お母さん、まだやるの?」。「そうよ、しっかりね」。懸命にこねていたハジメ君の額には汗が浮かんでいました。「さてと、もういいわ。ハジメ、ありがとうね」。「ふー、疲れたぁ」。
二人は生地を小さく分けていき形を整えました。お母さんはそれを冷蔵庫に入れます。「どうして冷蔵庫に入れるの?」。「これから、イースト菌が働く時なの。発酵と言って生地がおいしくなるように変えていくの。そうすると生地がパンのように膨らんでくるのよ」。「へぇーそうなんだ」。「ところでさ、今週の聖句は何?」。「うーんと、天の国はパン種に似ている、だよ」。「そう。そのパン種というのがイースト菌のことなのよ。イエス様は、天の国、神さまの世界のことね。みんなは神さまの世界が小さくて少ないから、つまらない所だと思ってしまうかもしれないけど、そうじゃないとおっしゃるの。少しでも神さまのことを思っていると、イースト菌が働くように、その人の中で神さまの世界がどんどん大きくなっていって、ハジメもイエス様が喜んでくださる子どもになるということなのよ」。「へぇー、パン種って神さまのイースト菌なんだ」。
*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より
□91番 「あかいはな」
□改訂59番 「コップのみずや」
□ThumaMina②21番(ThumaMinaは、つかわしてくださいという意味の賛美歌で日本基督教団出版の世界からの賛美歌集)。詳細(日本基督教団webサイト):http://bp-uccj.jp/publications/book/4818405272/
パン種の実験をする
今日のお話しにあったパン種がどのくらいブクブクするか、実験して、ハジメ君と似た体験をする。
①ペットボトルに水30㏄を入れる。
②砂糖10gを入れ、混ぜる。
③ ②にドライイースト1.5g入れ、混ぜる。
④ふたをして10分、待つ。
①一番好きだったり関心を持っているものや事柄を書き出してみよう。
②目に見えないほどに小さいけれども大きな力を持っているものは何だろう。
③神さまを思う心が大きくなる秘訣は日ごとの祈りであることへと導く。