2013年12月29日 降誕後主日
マタイ2:13-23 ガラテヤ4:4-7 イザヤ63:7-9

今週の聖句

「起きて、子どもとその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。」
マタイによる福音書2:20

ねらい

・いのちを殺そうとする力に勝っていく、神の愛の働きを知る。

説教作成のヒント

・マタイ福音書の中で、ヨセフには一言のせりふも与えられていない。しかしヨセフはマリアとお腹のイエスを受け入れ、またイエスが生まれた後は、妻と子をヘロデの手から守ろうと行動する。一見目立たないヨセフの行動を通して、イエスの命は守られていく。

・いのちを奪おうとする大きな力がある。そしてそれに比べると、いのちを守ろうとする働きは、小さなものに思える。しかし一見無力に見える、小さく見える愛の働きの中でこそ、神の救いの出来事は確かに前進していくのである。

・「主が預言者を通して語られたことが実現するためであった」(15、23)という言葉が繰り返し出てくるが、嬰児虐殺という悲劇について、「これも神の御心であった」と簡単に結論付けるようなことは避けなければならない。たとえイエスは逃れたとしても、子を奪われた母親の嘆きは消えない。しかし、そのどうしようもない悲しみのどん底の出来事の中からでも、神は新しいことを起こしてくださる、そこに希望を見出すことは可能だろう。

豆知識

・聖書にしるされているようなヘロデによる虐殺が、実際に起こったという記録は見つかっていない。しかしヘロデは即位当初はよい為政者であったようだが、自身が純血のユダヤ人ではないというコンプレックスから、周囲への猜疑心を募らせ、自分の妻や子供ですら殺害していったという。救い主が現れるという知らせを聞いて、このような凶行に走ったとしても不思議な話ではない。

説教

わたしたちはつい先日、クリスマスをお祝いしました。イエス様のお誕生を、みんなで喜びました。聖書の中でも、マリアさんやヨセフさん、羊飼い、天使たち、東の国の博士さんなど、みんながイエス様のお誕生を喜びました。

けれども、イエス様を拝みにきた人たちが皆帰ってしまったころ、ヨセフさんが不思議な夢を見るのです。「起きて、マリアさんと赤ちゃんを連れて、エジプトに逃げなさい。」そのときの王様であったヘロデ王が、イエス様のいのちを奪うために、ベツレヘムに住んでいる赤ちゃんをみんな殺してしまえ、という命令を出したのでした。

どうして、ヘロデ王はそのような命令を出したのでしょう。ヘロデ王は、「救い主になる方が、お生まれになろうとしています」と聞いたときに、「その生まれてくる赤ん坊が救い主なら、大きくなって、自分を倒すかもしれない」と、心配になってしまったのです。自分の王様としての力を失うのが怖くなってしまい、ヘロデはそのような命令を出したのでした。

不安に思う気持ちや、疑う気持ち。そういった気持ちは、私たちの心の中にもあります。それがどんどん大きくなっていくと、人と人では、それはけんかになってしまいますし、国と国だと戦争になってしまったりもします。不安や疑い、恨みの力はときどきとても大きくて、わたしたちにはどうにもできないように思えるときもあります。

けれども、ここでヘロデの力は、イエス様のいのちを奪うことはできませんでした。神様は、イエス様を殺そうとするヘロデではなくて、ヨセフの味方になって、ヨセフとマリア、赤ちゃんのイエス様をエジプトへと逃がしてくださったのです。王さまの方が、ヨセフさんよりも大きな力を持っています。王様はその力でイエス様を殺そうとしました。しかし神さまはここで、生まれたばかりの赤ちゃんとマリアさんを守ろうとするヨセフさんの小さな働きを、助けてくださったのでした。

わたしたちは、戦争や事件のニュースを聞いて、心が暗くなることがあります。もちろんインドのマザーテレサのように人を助けるために働く人たちのこともわたしたちは知っていますが、戦争などの大きな力の前では、それらの働きは、小さく、無力に思えてしまうこともしょっちゅうです。けれども聖書はわたしたちに、たとえ小さな力に見えても、いのちを守ろうとする愛の働きが、世の中で何よりも強いのだ、わたしたちが誰かを守ったり、誰かに優しくしたり、大切にしようとするときに、神さまは必ずその働きを助けてくださるのだ、ということを教えてくれています。わたしたちも、あきらめないで、小さな働きを積み重ねていきたいとおもいます。

分級への展開

さんびしよう

*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より

□97番 「こころをあわせ」

□改訂18番 「こころをあわせ」

やってみよう

☆「神さま、ありがとう!!」寄せ書きをしよう

1年を振り返り、神さまに守られたなと思うことなど、感謝の気持ちを色紙に書いて、寄せ書きをしましょう。

話してみよう

・ヨセフは、神さまの言葉に従いましたね。どうしてだと思いますか。また、もし、神さまの言葉に従わなかったら、ヨセフ達はどうなっていたでしょう。

・あなたは、神さまにすべての信頼をおいて生きることができますか?それは、どんな人生になるでしょう?話してみましょう。