2013年7月7日 聖霊降臨後第7主日
ルカ9:18-26 ゼカリヤ12:7-10 ガラテヤ3:23-29

今週の聖句

「わたしについて来たい者は、自分を捨て、日々、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。」
ルカによる福音書9:23

ねらい

教会は、信仰によって結ばれた愛の交わりです。神さまは、私たちを無条件に受け入れて、愛してくださっています。キリスト御自身が私たちを信じてくださっているのです。だから私たちは、キリストを信じ、自分自身を信じ、他者を信じることができるのです。

説教作成のヒント

対人関係には、大別すると二つあります。一つは、他者に依存せず、たえず自分の感情を押さえて、自分の問題を表面にあらわすことのない、毅然たる態度です。これは、自分の力をたのみ、どんな危険や問題にも正面から立ち向かう態度です。

もう一つは、自分の欠点を認め、他者の援助をあおぐ謙遜な態度です。この場合には、私たちは尊敬と思いやりによって結ばれ、互いに協力し合おうとしているわけです。だれでも、お互いに信頼できるという気持ちになれば、それまで相手との間にはりめぐらしていた防衛を取り外して、心を開いて語り合い、あるがままの自分の姿で相手に接することができるようになります。

豆知識

K.ホーナイは、自己には三つある、と言っています。第一は、現実自己、第二は、理想自己、第三は、真の自己です。第一の現実自己とは、人生経験を経て出来上がった自己であり、人が見て、すぐに分かる自己です。第二の理想自己とは、こうなりたいという自己です。しかし私たちには、自分の理想という眼鏡を通して、自己を見る傾向があります。そのために、理想自己と現実自己とを混同してしまうことがあります。以上の二つの自己に対して、第三の真の自己とは、人格の中に隠れている可能性のことです。失敗や、成長への障害が取り除かれて、生命の可能性のすべてが開花したときの自己が、真の自己です。

説教

私たちは、自分の力だけを頼りにして、どんな危険や問題にも正面から立ち向かっているでしょうか。それとも、自分の欠点を認めて、他の人に助けを求めているでしょうか。

赤ちゃんもお年寄りも、ひとに助けてもらわなければ、生きていけません。おとなは、一人で生きているように見えます。けれどもほんとうは、おとなも、ひとに助けてもらって生きているのです。自分一人だけで頑張る人は、疲れてしまいます。

だれでも、お互いに信頼できるときには、心を開いて語り合い、あるがままの自分で、相手に接することができるようになります。そして、相手の言葉に、すなおに耳を傾けることができるようになります。互いに分かち合おうという気持ちが生まれてきて、はじめて自分の問題をうちあけ、相手に対する思いやりを示すことができるのだ、と思います。私たちは、いつもだれかと一緒に生活することで、心と体の健康を保っているのです。

さてイエス様は、こう言われました。「わたしについて来たい者は、自分を捨て、日々、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい」(ルカ9:23)。ここで捨てるように求められているのは、いったいどのような「自分」なのでしょうか。

イエス様が「自分を捨てなさい」と言われたときの「自分」は、人に助けてもらおうとしない「自分」、自分の力だけで生きていけると思っている「自分」です。「自分の十字架を背負う」ということは、自分の欠点を認めて、他の人に助けを求めることができるようになることです。

イエス様は、私たちを信じて、私たちの欠点も受け入れ、愛してくださっています。だから、私たちもイエス様を信じて、神さまに仕えるために、頑張ることができるのです。

ドロシー・ロー・ノルトは、一人の男の子のことを紹介しています。十二歳のブルースは、近所のお店によく買物に行きます。じつは、他の子どもたちは、時々この店で万引きをしていました。ある日、店に入ったブルースは、どうしてもお菓子が欲しくなりました。しかし、お母さんに頼まれた買物の分しかお金を持っていません。ブルースは迷いました。

けれども、ブルースは万引きをしませんでした。それは、万引きをするなんて、そんな自分は許せなかったからです。親から信頼されていたブルースには、自分を信じる心が育っていたので、誘惑に負けることはありませんでした。

神さまは、私たちを受け入れて、愛してくださっています。イエス様が私たちを信じてくださっているのです。だから私たちは、自分を信じることができるし、他の人を信じて、助けを求めることができるのです。私たちは、だれかと深く結ばれることで、心と体の健康を保っているのです。

分級への展開

さんびしよう

*讃美歌は”こどもさんびか”(日キ版)より

□30番 「まぶねのなかに」

□79番(改訂版) 「まぶねの中に」

やってみよう

☆ぬくもりを感じよう

二人で背中合わせになって、5分間ほど、相手の背中からぬくもりを感じてみましょう。黙って目を閉じると、相手の気持ちを味わいやすくなります。

☆十字架をつくろう

<用意するもの>

割りばし・輪ゴム・紙粘土・ビーズ、おはじきなど(翌週、絵の具・ラッカーなど)

はしをふたつに割り、片方を適当な長さに切って輪ゴムでとめて十字架を作ります。これを芯にして紙粘土で肉づけしてビーズなどで飾ります。色塗り、ラッカー仕上げは翌週がよいでしょう。

話してみよう

その①

・私たちは、自分の力だけを頼りにして、どんな危険や問題にも正面から立ち向かっているでしょうか。それとも、自分の欠点を認めて、他の人に助けを求めているでしょうか。

・イエス様が「自分を捨てなさい」と言われたときの「自分」は、いったいどのような「自分」なのでしょうか。

・二人で背中合わせになって、相手の背中から、どんな気持ちを感じましたか。

その②

・今日の聖書箇所では、ペトロが自分にとってのイエス様はどういう存在かということを話しています。あなたにとって、神様やイエス様はどういう存在ですか?