イエス様を失った弟子たちはそれぞれの故郷に帰りました。でも、心のどこかでイエス様を忘れることができず、また集まって来たのでしょう。シモン・ペトロが「わたしは漁に行く」と言うと他の者たちも「わたしも一緒に行こう」と言って着いてきます。生きるために仕方なく、仕事をしますが、そんな心ここにあらずの仕事に成果がついてくるわけはありません。夜通し魚をとるのですが、何もとれず、焦りと疲れで茫然としている弟子たちにイエス様は現れられ、そして、舟の右のほうへ網をおろすように伝えます。聖書では右とは神さまの側をあらわし、左というのは、人の側をさします。つまり、これまでは人間の判断や、努力だけで自分たちはやってきた。しかし、神さまの力とみ心に従ったら、すなわち「舟の右側に網を打ちなさい」というみ言葉に従って網をおろしてみたら、魚がたくさんとれたというのです。ティベリアス湖畔でイエス様がこの奇跡を現されたのは、弟子たちがもう一度神さまのみ言葉に従って生きるようになるためだったのです。右のほうに網をおろすことと、左のほうにおろすことはちょっとした違いでしかないようで、永遠の違いをもたらせるのです。イエスの言葉に従った弟子たちの網にはもはや引き上げることができないほどの魚が捕れたといいます。ティベリアス湖に一五三種類の魚がいて、その全部の種類が捕れたという意味だとも言われます。そして、一つの民族ではなく、すべての民族、国民に、多くの人々に伝えなさい。多くの人々の心をとらえる漁師になりなさいということを弟子たちに伝えているのです。

最後に、イエス様は「さあ、来て、朝の食事をしなさい」と言われます。弟子たちが捕ってきた魚ではなく、イエスご自身が用意してくださっていたパンと魚を用いて。本当に必要なものは主が備えてくださいます。主は「さあ、食事をしよう」と弟子を招かれるのです。共に食事をしようと言ってくださっているのです。この共に食事をすることが七人の弟子たちにとって、今、本当に大切なことだから、この時を通して、弟子たちは更に力いっぱい歩むものとなれるのです。人間が生きていく中で欠かすことのできない食事の時を、主イエスは大切な時として根本的なところにやって来てくださるのです。叱ったり無理に励ましたりではなく、食事という楽しい時間を共に過ごすことにより、一人一人の心に語りかけてくださるのです。今、弟子たちに心の糧と体の糧が与えられ、再び歩みだすことができるのです。

今日もイエス様はわたしたちに神さまの言葉に従って生きなさいと言われています。神さまの言葉を聖書の中から聞きながら、祝福の側に網を投げ入れていきましょう。