教会というところは、いろいろな人が集まっています。仲のよい友だちがいたり、自分にいつもあったかい言葉をかけてくれる人たちもいます。でも、仲の悪い人もいるかも知れません。ルターさんは、教会には、やさしくていい人ばかりいる、それが教会だ、というふうには、じつは言っていないんです。むしろ、「敵」と呼ばれるような、一緒にいるといやな気持になる、そういう人もいるんだよ。「教会にも、嫌な人、きらいな人がいる」。でも、そういう「敵」のような人を避けて、仲のよい友だちたちと一緒にいようとするのはいけないなあ、と言っています。そういう、仲良しの人たちだけで集まっている人たちに向かって、ルターさんはこういうふうに言っています。「ああ、だめだよ、仲良しの人とだけ一緒にいるのは。イエス様も敵がいっぱいるところにいたんだよ、だから、教会でもいやな人にも、やさしく接していかなきゃならない。というのが、ルターさんの考え方なんです。こういうルターさんの言葉というのは、わたしたちが生きている、その現実をよく知っている言葉ですよね。わたしたちはどちらかと言うと、居心地のいいところにいたい、そう望みます。そして、自分たちの周囲が、あったかくて、やさしくて、信仰深い、そういうところこそが教会だと思いたいんです。でも、ルターさんは現実をよく見ています。わたしたちの周囲は、「敵」と呼んでもいいような、いやな人とか自分にいじわるする人たちもいて、自分に対して冷たい言葉を言ったり、自分に対して白い目が向けたり、反発をしたり、あるいは、ひとりぼっちになるようにと、周りの友達たちに言いふらしたりする、そういうところにわたしたちは、本当は生きている。そして、教会もまた、そういうところにある。そういう人間の現実を、教会のありのままの姿を見ていった時に、ルターさんは、そういうふうに言わなければならなかったんです。だって、イエス様もそういうところにいたじゃないか。みんなに悪口を言われたり、いじわるをされたり…..。でも、イエス様も、そういうところで生きていたんだよね。そのことをよく見ようよ、というのがルターさんの言いたかったことなんです。

そういう中でイエス様は十字架にかけられ、死んでくださった。でも、イエス様は復活をして、こんどは教会が、イエス様が行なっていたことを引き継いで、出発をしたんです。そのときの原動力となったのが、聖霊なんです。聖霊って、すごくわかりにくいものだけど、その聖霊は「弁護者」と呼ばれて、文字どおり教会は弁護してもらって、助けてもらって、ずーっと生き抜いてきたんです。敵がいるところで、教会は聖霊に助けられた。イエス様も、敵がたくさんいたところにいて、苦しみを耐え忍びながら、救いの活動を行なった。そのイエス様が、わたしたちを弁護してくださる聖霊を送ってくださる。敵が自分に対して冷たい言葉を投げかけ、自分に対して白い目を向け、自分をひとりぼっちにさせ、冷たい仕打ちをする。そのような敵がいるところに、聖霊は助けてくれるんです。